ヤマハのトライアルレプリカバイクTY250Zスコティッシュのリアショックをオーバーホールしました。90年代の半ばに発売されたバイクです。
構造はTTR250やDT230ランツア等の同年代のマシンと共通しておりますね-。
最近トライアルマシンのご依頼が多いのは気のせいでしょうか?
いや、気のせいではなさそうです。
2008年モデルのRTL260F リアショックが抜けてしまったとの事でオーバーホールしました。
ガス圧は半分以下に低下し、オイルの劣化を確認しました。
最近、トライアルに興味が出てきまして首を突っ込み始めたのですが沢山のライダーさんからお話を伺って刺激を受けまくってます!
大まかにですが、外車(GASGASやベータ)は反応が良くスムーズでアクションし易い。一方ショーワを採用しているRTL(国産)はダンパーが効き過ぎているのか?動きの重さが気になるとの事。
海外のトライアルバイクのサスペンションユニットの構造や仕様もある程度理解しているので、RTLと比べてみると改良点が見えてきます。こりゃあリバルブだけでは根本的には解決できんなぁ~と。
MXやEDモデルでも外車と国産車との「違い」。トライアルバイクも同じ方向性の様な気がしてます。色々と実験したくなってきました(笑)。
先ずはセオリー通り行こうと考えてます。
つまりコストダウンの為に切り捨てたであろう部分から改良すると言う部分から手を付けます。
今回はオーバーホールのお仕事ですのが実験機で実験開始したいと思います。
KX250Fのフロントフォークからオイル漏れとの事でオーバーホールを承りました。左右共に排出したオイルは真っ黒です。
前回のオーバーホールから1年程度経っております。もっと短期間でオイル漏れを起こすライダーの方もいらっしゃるのですが、時間は関係なくオイル漏れを起こしている場合、オイルの劣化が激しいですね。
使うシチュエーションだったりライディングスタイルにも関係してくる部分だと感じます。
ガイドブッシュはよく観察すると偏摩耗してましたのでスライドブッシュ共に交換しました。
KX250FのインナーチューブにはDLC加工がされていますので研磨できません。今回は大きなダメージは無かったのでそのまま組込みました。
片側ダンパー、片側スプリング、このタイプのフォークは分解組立を一人で行うのが大変です(^^;
ステアリングステムも分解洗浄してメンテナンスしました。ステムとフォークの位置関係がズレていましたので修正も兼ねて行いました。
前回からの続き、今回はフロントサスペンションです。先ずはフォークを分解しました。今回は各部の寸法取りとバルビング確認を行いたかったのでカードリッジも分解・・・しようと思ったら特殊なネジが使われていたので道具を自作する所からのスタートとなってしまいました!とほほほ・・・(+_+)
こういう時、旋盤とフライス盤があると便利ですね(苦笑)。
取りあえずの印象としては実にシンプルなフォークだなぁ~と言った所です。トライアルで使われているマルゾッキなんかと比べても構造自体は非常にシンプルです。
MXマシンやEDマシンばかりをやってきた私としてはダンパーロッド径やシリンダー径なんかも正直「こんなんでいいの!?」と言うのが正直な感想ですね(^^;
もちろん競技として求められるモノが違いますから正解なのでしょうね。
バルビングは如何にもメーカー出荷状態な感じですので改良する余地があるなぁ~と言った印象です。先ずは走らせてテスト!
ついでなのでステムも分解洗浄して新しいグリスをブッ込みました。ステムとフォークの位置もズレていたら嫌ですし、芯出しして・・・と言った一連の作業はやっておいて損はありませんから。この位置関係がズレているとフォークの動きに支障が出て来るので意外と重要なのですね。
最悪ズレたまま使っているとアクスルシャフトのハマる部分が偏摩耗してしまったりと、取り返しの付かない事態に陥る事もあるので重要な部分だと感じます。
各パーツを車体へ取り付けました。
ステム、トップブリッジ、フォーク、アクスル、この位置関係が正確になる様に組み付けるのは意外と重要でして、ホイルやフォークのスムーズな動きの妨げにならぬ様に神経を使って組立てます。
すると・・・あら不思議!
ホイルはクルクル回る様になったし、フォーク動きもスムーズになりました(^^)v
HRC RTL250Fのリアサスを整備します。2007年式なのですが、現在まであまり乗られていなかった様です。とは言っても10年程の時間が経過しておりますので各部を点検しながら洗浄します。
純正リアショックも念の為、分解オーバーホールしました。今後チューニングメニューを加える為に各部の寸法も記録しておきました。MXマシンやEDマシンと比べると大分違いますね。シムの積層なんかは『こんなんでいいの?』って正直感じてしまいました(^^;
それとガス室とシリンダーの位置関係が特殊な為、いつもとは違う方法でエア抜きオイル充填をする必要がありました。SHOWAって何故かブラッダ式を採用するんだよね。ピストン式なら通常の方法でいけるんですが。
しかもこんな専用のブラッダまでわざわざ作るとは!意地を感じました(笑)。
各パーツを車体に取り付けていきます。ブレーキまわりも綺麗にしました。ホイルが綺麗にクルクル回る様になりました~\(^o^)/
うーん気持ちいい!と・こ・ろ・が!!!
フロントまわりを軽く点検したのですがホイルの回り方が重い!この辺の動きってトライアル競技には意外と重要だと思います。モトクロスなんかはジャンプがあるので前後のホイルにブレーキの引っ掛かりは厳禁なんですね。
フォークの動きも渋いです…。何か引っかかる感じでコキコキと動きます。純正のスタビライザーも貧弱な印象です。気になるんだよなあ。
このホイルの渋い動きはMXですと、空中でジャイロ効果が生まれてしまい、姿勢制御が困難になっちゃうのです。危ないでしょ?めっちゃ怖いんですよね。フープスでも作用してしまうでしょうし百害あって一利なし!なのです。
って事はトライアルでも同じで、アクションの妨げになってくると思います。
点検してこのホイルの重く回る原因を探します。
続く・・・
先日からの続きです。スタンダードスプリングと比べて短いスプリングが完成し入荷しましたのでフォークに取り掛かりました。ローダウンする為のカラーを作ります。
潤滑性と圧力に強い樹脂を使って製作します。実は樹脂なのがミソです。
フォークダンパーロッドはデリケートですので傷は大敵なんですね。傷ついたダンパーロッドがダンパーロッドシールを痛めてしまう恐れがあるので樹脂です。しかもアルミの様な非金属より柔らかい物でないといけません。
ロッドコーティングが剥げてしまう恐れがあるからです。
フォークカードリッジを分解してショート加工します。新古車なのですがオイル漏れが見られましたのでインナチューブは研磨してシールを新品に交換しました。
ショート加工したカードリッジに合わせた長さのスプリングを適正なイニシャル量になる様に確認しつつ組み立てていきます。
今回、リアショックのスプリングに合わせてフォークスプリングのレート(強さ)も変更して前後バランスを最適化しました。
先日からの続きです。ハスクのFE450のリアショックを30㎜ローダウンになる様にショート加工してリバルビングを行いました。先日、製作した専用のローダウンカラーを組込みました。
リバルビング(バルビングの変更)と一口で言っても簡単ではありません。例えば、『リアならリアだけ』『フロントならフロントだけ』と言ったそれぞれの動き自体を変更するだけのチューニングならば容易ですし分かり易く動きが変わります。所が!
バイクの場合、前後のバランスを考慮しませんと狙ったセッティングになりません。
例えばリアのトラクションを稼ぎたい場合はリア側だけに原因がある訳ではなく、又フロント側に硬さを感じるからと言ってフロントフォークだけに原因がある訳では無い症状を多々見受けます。
そんなに簡単に解決できる問題jじゃないのよね…。と言う事で。
走行時間は極短ですので再利用できる部品は再利用しました。念の為シール類は交換しました。
スプリングも変更しました。使うシチュエーションやライダーの好みやマシンの持つ癖を考慮しつつ、前後のバランス最適化とトラクション性の向上を狙って仕様を変更する訳です。
総合的にチューニングするにはリアだけ、とかフロントだけと言うのは成り立たないのがオートバイ。
簡単に言うと、フロントがゴツゴツと嫌な感じがする場合、フォークが硬い訳ではない事が多々あるんですね。逆にリアのトラクション性を上げる為にフロント側に改良が必要だったりと、とにかくライダーの話に耳を傾ける事が最低条件ですねぇ。
そして、このFE450に何を求めるか?ココ重要!
と言う訳でフロントフォーク編へ続きます。