WR250Fのリアショックをオーバーホールします。07モデルです。アルミフレームを採用した初のWRですね。
10年程度経過したモデルですがリアショックのオーバーホールは初めてとの事です。オーナー様から『徹底的にやってくれ!』とのご指示でしたので、その様にしました(笑)。
ですが特に大きな異常はなく通常の消耗パーツ交換のみで十分でした。
スポーツスター1200Sに採用されているSHOWAのツインショックをオーバーホールします。スプリングを外してみた所、ボトムアウトバンパーが砕けておりました。ガスが抜けてくるとボトムアウトバンパーに負担がかかり易くなるので砕けたり、気付いたら無くなっていたりします。
スプリングを外した状態でダンパーロッドを押し込んでみると・・・全然戻ってきません。これはガスが抜けている状態を示しています。
即ちサスペンションが路面を追従できない状態になっていると言えます。サスペンションの『伸びる仕事』が行えない状態と言えば分かり易いでしょうか?
ガス圧を計ってみた所、0気圧でした。ブラッダ(ガス袋)も変形していたので擦れて傷が入っておりました。
高圧ガスが封入されるパーツですので交換が必要になってきます。
ショックロッドは旋盤で掴んで回し、研磨します。使用しているうちに細かな傷が付き、その傷がシールを痛める事を防止する為です。
そして分解洗浄しつつ点検して異常等がないかを確認し、消耗パーツを交換して組上げます。
仕上げはオイル充填とエア抜きを行います。
ダンパーを完成させてリークテストを行い、問題なければスプリングを元通りにセットします。各セッティングも作業前に記録した位置に合わせて完成です。
セロー225のリアショック オーバーホールを承りました。それ以外にも走行中にカタカタと音がするとの事で点検しました。
テスト走行してみたのですが、確かに不定期に何かが動いてぶつかる様な音と言うか振動が伝わってきます。パターンが無いので頭を悩ませつつ…各部点検してみた所、エンジンハンガーのボルトが緩んでおりました。
あぶねーあぶねー(^^;
次にリアサスに取り掛かりました。オイル滲んでますねぇ。
ヤマハ(創輝)製のリアショックは独特な造りだったり、どちらかと言うとOHLINSを模倣した様な構造で耐久性よりもフリクションロスを低く抑える様なパーツを採用してます。ヤマリンズってのもありますし実際提携してますし。
その為なのか漏れやすい気がしますね。
逆を言えば漏れてメンテナンス時期を教えてくれるとも言えます。
はい。いつも通り分解洗浄点検です。この時点でショックボディにガスを注入する為のバルブを取り付けます。
シムも一枚一枚磨くのですが、その配列を見ながら、こうしたらもっと良くなるだろうなぁとか、ここの構造は変えたいなぁとか考えたりしちゃいます。
職業病でしょうか?
ダンパーを完成させたらリークテストを行い、問題なければ車体へ組込み完成させます。
YAMAHAの2STエンジンのクロスカントリーモデル YZ250Xのフロントフォークをオーバーホールします。新車から30時間以内の使用時間との事ですので大きな破損や異常はありませんでした。
もちろん全部洗浄して点検して綺麗にしておきます。
同じ30時間以内でも場合によっては凄く消耗してる場合も多々あります。それは使っているシチュエーションだったり乗り方だったり色々と違いますので洗浄点検が重要になってきます。
画像を撮り忘れてしまったのですが、排出したオイルは透明感が残っている物の、キラキラと鉄粉が混じっておりました。新車購入からでも早めのメンテナンスは大切だなあと思いました。
セッティングはメーカー基準位置にセットして完成です(^^)v
NSR250の純正リアショックをオーバーホールします。先ずは分解点検しながら洗浄します。
各部のセッティングを記録しておきました。
先ずはブラッダ。
これは高圧チッソガスが封入されている部品ですが、分解前に確認したところ、ガス圧は0以下でした。更に酷いとマイナスになる事もあります。
つまり負圧です。その場合、スプリングを外すとショックロッドが内部に吸い込まれます。この様な状態ですとリアサスペンションの機能としては破綻しています(+o+)
画像の様に変形している事は度々あります。この場合は新品に交換です。
次にショックロッドを保持しているガイドブッシュです。編摩耗しています。
画像ですとわかり難いのですがコーティングが一部擦り減っています。ロッドが真直ぐに動く様に保持するパーツですのでこのまま再使用するとオイル漏れの原因になりますので交換します。
洗浄点検しつつ磨いたパーツを展開しておきます。何段階にも異常がないか?確認する為です。
意外に思われるかもしれませんが、小さなゴミの混入や些細な変形が性能に多大な影響を与えるリアショックですので何度も確認点検を行います。
そうして組上げた後に、最後の仕上げとなる、オイル充填&エア抜きの工程に入ります。
この工程も非常に重要になります。エア混入の状態ですと減衰が効かない状態になってしまいオーバーホールの意味がなくなります。正確に、品質を安定させる為には特殊な装置を使いませんと成り立ちません。
いつもご愛読ありがとうございます。今回はヤマハのWR250Rの足回りについて書いていこうと思います。見た目はモトクロッサー等のレーシングマシンのレプリカに見えますが、やはり公道を走るトレール車としてのセッティングになっております。
オフロードでスポーツ走行を楽しもうとすると色々と足りない部分が出てくるのは否めないと思います。
リアはポヨンポヨンと動き過ぎる反面、フロントはゴツゴツと硬くエンデューロなんかで使うとヒルクライムではトラクションが得にくい為、登り切れなかったりスタックし易かったりと四苦八苦するんですね。
これは、公道を走る為に2人乗りや荷物を積む事を考慮したセッティングですので仕方ないのですが、実はこのWR250Rはセッティング次第で化けます。
マシンの元々の素材が良いので、諦めるのは早合点です。
先ずは問題のリアショック側から。トレール車であるWR250Rは実は、フロントと比べてリアショックのスプリングが強過ぎるセッティングになっています。
動き過ぎる感があるので「え?」と思われるんじゃないかと思いますが、スプリングが強過ぎでショックダンパーのボリュームが不足しているのでフワフワと落ち着かない動きをする訳です。
その部分を見直してエンデューロ走行やスポーツ走行をするのに最適なバランスにショックのセッティングを内部から変更します。
そして車体側のクリアランスにもよりますが、リザーバータンクの容量アップの為にガスキャップを製作して組込むのも効果があります。
アルミから削り出しです。ガス室の容量が向上する事で熱ダレ予防やガス抜け予防になります。
次はフロントフォークです。実はこのリアの動きを受け止める為&アスファルトでのブレーキ時のノーズダイブ防止の為、やたら硬いフォークになってますが、これを解除しつつ各部を見直します。
フォークもスプリングの強さと油量を見直す事で大分良くなります。悪さ(?)をしてるのはリア側ですのでフォークはこの2点を改善する事で大分良くなりますが・・・。
やはりシムスタックもスポーツ走行向けに変更します(笑)。例えばこの辺りはオーナー様の使用目的がしっかりわかると色々と味付けできますのでご用命の際はお伝えください。
更にガンガン攻めたい場合はオイルロックを強化する為のパーツを製作!旋盤とフライスで削り出します。
ここの部分は結構重要です。フォークが物足りないからと言って悪戯にハードスプリングに変更すると硬くなったり動きが悪くなりますし、オイルレベルを上げると曲がらなくなったり、美味しいストローク部分が使いにくくなってしまう事が多いのです。
ですので美味しいストローク部分が使えるままにフォークを強くする為には画像の様な部品を製作して組み込む必要があります。