
先日、再メッキに出したロッドが戻ってきましたので早速オーバーホールに取り掛かります。

結構やれてしまっていましたが、オーバーホールする事で新車時と同等の性能を取り戻す事ができます。

勿論性能を取り戻すには各消耗パーツを交換しただけでは駄目です。正確なエア抜きやリザーバタンクの容量確保等々…要所の作業工程に正確さが求められます。
いつもご愛読頂き誠にありがとうございます。
ヤマハ RZ250のリアショックをオーバーホールしました。1986年頃の物だそうで、30年の時間が流れ、初のO/Hです。何だか感慨深いモノがありますね。
YAMAHAが最初に公道市販車にモノクロスサスペンションを採用したDT250Mも修理した事があるのですが、同じような構造でした。当時、YAMAHAはいち早くサスペンションの重要性に気付いて独自で開発したそうです。
その頃の名残でヤマハオリジナルのサスペンションメーカーが誕生したんですね。いわゆる創輝です。OHLINSのライセンスを取得したヤマリンズとか、アレです。当時、ヤマハはモトクロッサーに独自開発したモノクロスサスペンションを採用し世界選手権で他チームを圧倒して優勝すると言う金字塔を打ち立てちゃうのです。
それとヤマハ車と言えば、島英彦さんが新たなシャーシ論を引っ提げて80年頃にXT500(SR400/500の前身モデル)で快挙を成し遂げた「ロード・ボンバー1号機」。これについての書籍「オートバイの科学(トータルバランスを求めて)」が私が最初にシャーシやエンジンのバランスに興味を持ったきっかけです。
モンスターエンジンを搭載したカッチカッチに硬いモンスターシャーシのモンスターマシン勢を相手に、島独自の理論で作り上げた非力な4ST単気筒500㏄のマシンで快挙を成し遂げちゃうのですよ。当時ハード面(エンジン出力)ばかりが取りざたされる風潮をソフト面(シャーシやライダーのライディングポジション)の重要性を全面に押し出したマシン、「ロードボンバー」で戦いに挑む訳ですね。
この本を私に貸してくれたのが、友人であり師匠である茨城でクラシックバイク専門店を営んでいる「江藤氏」なんです。懐かしいですね~。(この方は、かのホンダを危機に陥れたジュノウ号の研究家でもあり、カブに自作の過給機を取り付けて実験したりと話題の変態です???)。興味のある方はオートバイ雑誌に出てたりするのでチェックしてみて下さい。
そうそう。その本は借りパクしたままです。今気づきましたよ!師匠!(笑)。本人は気付いてないのでそのままもらっちゃおうかな―。
興味のある方は是非、島英彦さんの書籍「オートバイの科学」を読んでみて下さい。目から鱗が落ちます。
エンジン、シャーシ、ライダー力量のトータルバランスが如実に結果につながるオフロードレースは私にとって必然に興味対象となる運命だったのだとRZ250のショックをオーバーホールしながら思う訳なのです。
ですから、私にとってYAMAHAと言えば「トータルバランスの重要性」を世に知らしめた初の日本メーカーと言う印象が強いのであります。
Beta(ベータ)のエンデューロモデル RR2Tのフロントフォークをオーバーホールしました。オイル漏れの修理ですが内容はO/Hと同様です。今回は前回のオーバーホールから1年弱だった事もあり、スライドブッシュはまだまだ使用できる状態でしたので、再利用しました。
シールはSKFフォークシールを使用しました。グリーンだよぉ-\(^o^)/
話は変わりますが、先日フロンティアさんのご厚意で最新のKTM350SX-Fに試乗させていただきました。2016モデルからオールニューになったSXモデルですが注目したいのが何と言ってもエアフォーク「WP AER48」です。
先ずNEWフレームとNEWエンジンのお蔭なのか?4ST350CCとは思えない軽快感です。私は体格に恵まれていませんので4STモトクロッサーは苦手でマトモに乗れないんですが、普通に乗れちゃう!旧350と比べ、切り返し易く自分用にサスをセットアップしたらもっとガンガン走れるなぁ~と感じました。硬いサスペンションな筈なのにコントロール感も伝わってきます。
手元でノーマルモードとハイパワーモードの切り替えも可能で、ハイパワーモードにすると別物に豹変します。勿論、私は試してませんよ。一緒に連れて行ったリク君が試した感想です(^^;
FI化されてから、ローンチコントロールやパワーモード切替とかキャブ車じゃジェット交換が必要だった事が、スイッチ一つで出来ちゃうのは物凄い事だと思いますね~。
そんで、WP AER48フォーク。これが一番興味あったんですが、素材として面白いなぁと感じました。実はエアフォークは初だったんですが、先ずコイルスプリングですと共振する感じがあるんですがそれが無いんですね。コイルスプリングレスなんですから当たり前なんですが(;^ω^)
しかしながら見落としちゃいけない部分です。それは即ち、コイルスプリングに比べて抵抗が少ないと言う事に繋がりますし、実際スムーズに動いている印象が強かったのです。こりゃあコーティングしたら凄い事になりそうじゃないか!?とか、チューニングのイメージも沢山湧いてきましたね~。ただ、雑誌なんかで言われている「軽さ」は私のレベルでは分かりませんでした(^^;
私の体重ですと、吊るしのままの足回りですと硬くて乗れたもんじゃないんですが、苦手な4STエンジンで尚且つ350㏄と言う重量車(私にとってですよ)。なのに普通に乗れてしまう。下りなんてホントに乗れたもんじゃなかったのに怖くない!こりゃあ4STもアリだな~なんて考えましたが、このシャーシで2STだったらもっといいかも!?なんて興味津々な今日この頃でございます(*´ω`)
今年はEXCシリーズもフルモデルチェンジですがエアフォークはSXモデルのみの装着になりそうですし、125SXを150にボアアップしてエンデューロやクロカンに使うってのもアリじゃないかと。しかも今は「俺のKTM」キャンペーン中だし…と皆で話していたらカミさんに睨まれてしまいましたよ。トホホホホ-(T_T)
いつもご愛読頂き誠にありがとうございますm(__)m
XR250とジェベル250XCのリアショックですがボトムアウトバンパーは砕け散って、ショックロッドには点錆が発生しています。
2本ともオイル漏れも起こしています。こうなってしまうと完全にダンパー機能が失われてしまいます。更に放っておきますと、オイルが完全に抜けきって、シリンダボディやバルブにダメージを与え、オーバーホールや修理できない状態になってしまいます。
その様になる前に、外から見てメンテ必須状態がわかるのがボトムアウトバンパー(ロッド下部の樹脂製バンパー)の劣化具合です。割れそうになっていたり、変色が激しい場合はメンテ時期を知らせている目安です。
リアショック内部のオイルは数百CC程度しか入っておりません。その少ないオイルでダンピングを発生させ続けていますので過酷な状態に晒されています。3万キロも放っておきますと画像の様なオイルに変化してしまいます。油圧で制御している以上は電子制御のダンパーでも油がこうなってしまえば、アウトです。
とゆー訳で、ジェベルとXRのショックロッドを再メッキに出しました。
毎度ご愛読ありがとうございます。今回はKTMやフサベルなどのモトクロッサーやエンデューロマシンに採用されていたWP製クローズドカードリッジについてです。
オーナー様曰く「数か月前にオーバーホールしたんだけどまた漏れてきちゃったよ、とほほほほ~」との事で点検してみました。アウター側のオイルを排出してみた所、あれ?なんか油量が多くない?…変だなーと思いカードリッジのチェックバルブを点検してみると、ほんの少しストロークさせただけでオイルがダラダラと出てきてしまいます。
これはあれだなー。そう、アレです。
実はブラッダ式のフォークダンパーはきちんと工程を踏み、正確にエア抜きしませんとブラッダ(ガス袋)の変形率が不安定になり・・・・永くなるので割愛しますが、とにかくきちんとエア抜きできていないとこうなります!(^-^;
カードリッジのチェックバルブからオイルが必要以上に排出され続けてアウター側に流れ続けた事でオイル漏れを発生させた様です。
兎に角!他にも原因があるやもしれませんので、カードリッジは分解して点検・・・なのですがロッドの動きがおかしいのです。途中で引っかかるの外してみると…シリンダパイプの一部が変形していました((+_+))
恐らくなんですが、無理にバイス等で固定して分解した様な痕がありました。仕方がないのでホーニングしてなるべく引っかからない様にしましたが、本来は交換が必要な状態でした…。
舶来品のWPですから、大物パーツはやはり高価なので、ノウハウの豊富なプロショップへ依頼された方が良いと思います(^-^;
きちんとエア抜きができて、ブラッダを正しい形状にできたならば、ダンパーロッドを押し込んでも殆どオイルは出てこないのです。出るとしてもフルストロークさせてちょっと出るかな?程度です。
国産クローズドフォークのスプリング式と違って、この辺りのノウハウが無いとセッティングが難しくなります。しかしながらセッティングがばっちり行くと安定した性能を高次元で発揮してくれるフォークだと思います。
実は自分の250EXCにはWPのクローズドフォークを使ってます。4CSも良いんですが、挙動がクローズドフォークの方が長時間一定でコントロールし易いと感じます。勿論フォークダンパーのエア抜きが完全である事が前提ですが。
4CSのエア抜きもコツが要りますね。ただ、こっちはエア混入しても自動的にエアを排出してくれる機能が備わっているんですが、メンテを怠ると他の部分が悪さをして動きが一定じゃ無くなる気がします。
ホンダのTLR200のリアショックです。トライアルバイクですが、経年劣化やロッドに錆が発生し、オイルが漏れています。とても古いモデルですがオーバーホール可能と判断し、分解して錆びてしまったロッドは再メッキに出します。
メッキ屋さんからロッドが戻ってきました。精密なメッキが施され、綺麗に再生されております。装飾の為のメッキではない機能する為のメッキ・・・美しいですね。
ガスの注入口が無いので新たに設置しました。古いショックですので現在の物と構造が違っていて興味深いです。オリフィスをシムの積層で制御するのではなく小さなコイルスプリングで制御していたり・・・この辺りは古いWPショックなんかも同じだったりします。
今ではシムスタック式がスタンダードですが、モデルによっては今でも古いシステムのままのショックやフォークも使われています。
スズキのRF900用Ohlins Shockです。ボトムアウトバンパーが砕けオイルが漏れてしまっております。国産サスペンションメーカーと違い、シール性を犠牲にしつつフリクションロスが低くしているので、漏れやすいと言えば漏れやすいと思います。
しかしながら国産メーカーの物は、漏れにくい故にメンテを怠りがちになる事が多いと思います。フロントフォークも同じですが漏れていなければOKと言う訳ではないのです。
ある意味、ガス抜けしたりヘタるとオイルが漏れてくるオーリンズ等のスポーツショックはメンテナンスの時期を教えてくれるのだと思います。