御依頼の多いNSR250の純正リアショック オーバーホールです。
生産時期から数十年経っておりますが初メンテのご様子・・・。オイル漏れは無いもののガスは抜け切り、ブラッダ(ガス袋)は変形してガイドブッシュ(ロッドを保持する部品)は偏摩耗していました。
そんな状態でも難とか走れちゃうのでメンテナンスしないのも理解できるのですが・・・。
数十年分の垢を綺麗にしてリフレッシュ!
爽やかなリアショックの完成です♪
雑記シリーズ「実験マシ~ンをアップグレード?!」でございやす。
海外の2STトライアルバイクは軽量であるが故にサスペンションの反応が良いのに、収まりも悪くないのでコントロールし易い印象です。
それに比べて4STのRTLやCOTA4RTは鈍さが否めません。
ですが、反応だけを良くしようとしていきますとスプリングの固有振動の収まりが悪くなる傾向があり、ダンパーが効いて欲しい時に効いてくれなくてコントロール性を失い易くなってします。
そこで基本、其の壱は軽量化。特にバネ下と車体中心部分から遠い場所の重量の増減はパフォーマンスに影響を及ぼしやすいので。
それら軽量化は地道に行うとして、サスペンションユニット側もSTD状態から大幅に変更せずに理想に近づける為の改良を加えていこうと作業開始しました~!
先ず目を付けた部分がフォーク左側のダンパーロッドです。画像を見て頂ければ分かると思うのですが、レーサーマシンに相応しくないオリフィスに頼る超旧式の構造です(別名オリフィスダンパー式)。現代の技術から見れば、非常に不安定な性能のダンパーシステムであります。理想は分離加圧にしたい所ですが…あまりにも現実的ではないのでそれに近づけるイメージです。
世界選手権のワークスマシンはその位やってるかもしんないけど私の様なパンピーには無理ですし(^^;
行ったのはSTD状態を加味しつつオリフィスの追加と制御システムの追加です。オイルが流れたい時には流れ、制御して欲しい時には制御システムが働く様に設計(って程偉そうなモノではありませんが…)しました。
簡単に言えば、ライダーのアクションに対しては反応良く、路面の急激なバンプに対してはダンパーが効いてくれる様に動く事を狙って設計しました。
経験上、結構いい線行ってるでしょ~と思いつくままにやりましたよ(笑)。今後のサービスメニューに加えたいのでコスパも重要なので、その辺も考えつつ実験します。
逆側のフォークとリアショックの事も考えると完成するまでに時間掛かりそうだわ~(>_<)
続く・・・。
ヤマハ製オーリンズのリアショックをオーバーホール(修理)します。片側はオイル漏れを起こしていました。
ロッドに傷が付いている事が多々ありますので必ずロッドを研磨して組込みます。旋盤で掴んで回しながら研磨します。この工程で錆の有無や大き目な傷の有無を確認します。
この工程はほぼ全てのショックに対して行っています。ロッドにチタンコートやDLCがかかっている場合は行えません。つまりロッドに対するコーティングは、それらを多少犠牲にしてでもフリクションロスを減らして路面追従性を向上させる為に行う物なのですね。
STDのショックロッドやフォークインナーは何故メッキ処理なのか?
硬度と潤滑性のバランスが良く問題が起きにくいから。という所だと感じます。路面追従性を徹底的に求めるのであればDLCやチタンコートが上ですが。
パッと見の感覚としてはツルツルの状態の方が良いと思われがちですが、オイル漏れに関してはそうとは言えません。適度な凸凹が油膜を保持しシールのリップ部分を正常に作動させるのであります(”◇”)ゞ
エンジンのシリンダーにクロスハッチが付いているのを想像して頂けると分かり易いんじゃないかなあと思います。
はい。
各部洗浄して点検交換組立に移ります。
完成しました。
梱包してオーナー様の元へ送り返します(^O^)/
突然、衝撃的な画像ですいません(^^;
久々にヘドロ状態のショックオイルでしたのでつい・・・。
ブラッダ(ガス袋)の周りには得体のしれないブツブツした物体がへばり付いておりました。
きっとエイリアンの卵じゃないかと思うので、研究所へ持って行きました(?)。地球の侵略を目論むエイリアン達は人間に気付かれない間に卵を産み付けているに違いない(; ・`д・´)
20年以上の月日が経っているモデルですので、その間に人類の隙をみて・・・。
いや、これはデーモン族の仕業か!?人間は駆逐されてしまうのでしょうか?
と、冗談はその位にして愈々仕上げに入りまーす(^O^)/
綺麗なオイルを充填させつつエア抜きを行っている画像です。
20年以上頑張ったリアショックを労いながら丁寧に行いました!
今回、アッパーベアリングも動作不良を起こしていましたので一式交換しました。これでまた暫くは快適に乗って頂けると思います。
HRCのトライアルバイク RTLや、モンテッサのCOTAのエンジンハンガー(ダウンチューブ)を肉抜きして軽量化しました~。
装着するとこんな感じになります。
実験マシンなので目測でエンドミルで削りました。
車体の軽さは単純にサスペンション動作性やコントロール性を向上させます。軽量化はサスペンションの動作性においては『一理あって百害無し』と言えます。
逆に車重増加はサスペンションやマシンのコントロール性を悪化させるので気を使うべきだと思います。悪戯にガード類を装着すると車重を増加させてコントロール性を失い、逆に転倒破損し易くなる・・・軽さだけを求めてガードを怠れば転倒時の破損リスクが高くなる・・・。
相反する部分ですので、ガードすべき部分(破損したら帰ってこれなくなる大切な部分とか経済的に痛い部分とか)とライダーの仕事によって破損させずに済む部分を分けて的確にガード類の取付と軽量化をバランス良く行う事が吉だと思います。
又、軽量化する場所によっても効果の大小があります。バネ下重量や車体中心部分から離れれば離れるほど重量の増減によっての影響が大きくなります。
フロント側はハンドル周り、リア側はマフラー周り。ここは効果が大きいです。逆に重たくすれば悪化するのも効果大(^^;
良く考えてガードを選択しましょう!
ガードし過ぎ(守り過ぎ)て結果、車重が増加しコントロール性を失い、転倒破損するリスクが増える。⇒本末転倒
軽量化し過ぎて破損のリスクが高くなりレース等で完走できず・・・⇒本末転倒
ワークスチームではない一般ピーポーの永遠のテーマですねぇ(^_^;)
ついでだったのでチェンジペダルも肉抜きしました。
RTLやCOTAに関して「サスの反応は鈍重で外車の様なダイレクト感がなくて・・・」なんて話をよく聞きますし、そう言ったチューニングをサスペンションユニットへ施すのも定番らしいのですが・・・RTLやCOTAは4STエンジン搭載のアルミフレーム車ですので、クロモリフレームに2STエンジン搭載のGASGASやBETA等とは根本的に違うんじゃない?と考えています。
親切な方に2STクロモリフレームのトラ車を拝借して比べる機会も多々ありまして。大変興味深く、残念ながら外国のトラ車は乗っていて楽しいです。反応が良く素直にコントロールできる感じがありました。ホントに軽い感じなんですよね。
つまり車重が重たいRTL (アルミフレーム+4STエンジン)に、車重の軽い外車(クロモリフレーム+2STエンジン)の様なダイレクト感を求めて、サスペンションユニットだけに機敏さを求めてしまうと間違った方向へ行ってしまうんじゃないかな?と疑問が出てきます。
サスペンションユニットの反応を向上させただけのRTLに試乗する機会も何度か与えて頂いたんですよね。STDを超えているとは到底思えない!何これ?何か違うなあと言う物もありまして・・・(^^;
初心者だからこそ分かる部分ってあるんですよね。
兎に角今は、ライダーからの聴取と実践が真実を見出す一歩だと感じております。
スゲーRTLを作りてえなぁと言った所です。